公認会計士の年収・給与の実態

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公認会計士の年収については、インターネット等でも、平均700万円とか、平均1,100万円など、色々な情報が錯綜しており、正確な情報を意外に知らない方が多いのではないでしょうか。

そのため、今回は、公認会計士の年収の実態について解説していきたいと思います。

1.監査法人における公認会計士への報酬体系の実態

公認会計士の王道のキャリアとしては、大手監査法人で出世を目指すことになります。そのため、最初は、大手監査法人における報酬体系の実態について説明していきます。

まず、公認会計士試験に合格し、監査法人に就職すると、年齢に関係なくスタッフという位からスタートします。スタッフの初任給は、月収で30万円程度+残業代+賞与になります。

賞与は、基本的には年間3か月分から5か月分ぐらいの支給が一般的ですので、スタッフの給料は、残業代なしで480万円程度となります。それに残業代がプラスされるというイメージです。残業をどの程度するかにもよるのですが、年収500万円~600万円程度になります。

この初任給の月給は、最近は多少の変動があります。10年前ぐらいまでは30万円で固定されていましたが、2005年前後には、あまりの人手不足により、数年間35万円に上昇しました。また、2011年ぐらいからは、3,000名の大量合格者の未就職者問題を背景に、多少給料を下げても人が集まるということで、月27万円とか月28万円とかに下がっていました。

ただ、2013年からは、公認会計士試験の合格者数を元の水準の1,000名強に戻しており、かつ、事務所においても現時点では人手不足の状態であるため、当初の30万円程度に落ち着いていくと思われます。
現在は、再び人手不足になっているので、もしかしたら、今後初任給の上昇があるかもしれません。

そして、監査法人に勤務して3年から5年程度で、シニアスタッフという位に昇格するのが一般的です。シニアスタッフになると、年収が650万円~になります。残業を多くする方では年収が1,000万円近くに行く方もいるのが現状です。

そのため、監査法人に勤務して7・8年で、残業代込みで年収が1,000万円前後になります。

勤務してから7・8年で、早い人は、マネージャーという位に昇格します。マネージャーになると、管理職ということで、残業代は支給されなくなりますが、個人の評価で賞与の差が大きくなります。大体900万円~という年収になり多くの方は、1,000万円強は稼げるようになります。

マネージャーになると残業代が出なくなりますので、シニアスタッフの時に比べて一時的ですが年収が減少してしまいます。監査法人以外のキャリアに転職をする方が、マネージャーになる前に転職をするのはそのためです。

マネージャーになった方は、その後のパートナーを目指しているので、一時的な給料の減少を受け入れていると言えます。

マネージャーの後は、シニアマネージャー、パートナー、シニアパートナーと昇格していきます。
シニアマネージャーになれば1,200万円以上、パートナーになれば、1,500万以上の給料を手にすることができます。

パートナーの平均年収は明らかにされていませんが、聞くところによると平均して3,000万円程度だそうです。想像以上に稼いでいるなという印象です。

以上が、大手監査法人における基本的な報酬体系の実態になります。中堅の監査法人も似たようなものですが、大手監査法人よりは若干下がることになります。

2.監査法人での公認会計士の出世競争

従来の監査法人は、出世競争がほとんどなく、監査法人に残るほとんどの人がパートナーまで昇進できていたので、相当待遇は良かったと言えます。

今後は、競争が導入され、パートナーまで昇進できる人は監査法人に残った人の中で50%以下になりそうですが、それでも他の企業の競争に比べれば、競争は少ないと言えます。

監査法人のパートナーに出世することで、上場企業の役員並みの給料をもらえることになりますので、コストパフォーマンスは相当高いのです。

3.監査法人以外の進路では公認会計士の年収は様々

では、次に、監査法人から転職をした場合の、公認会計士の報酬はどうなのでしょうか。

これは、状況によって一概には言えないのですが、公認会計士として、アドバイザリー業界・コンサルティング業界・金融業界に転職した場合には、監査法人より給料は高い場合が多いです。しかし、競争が激しいため、激務ということが多く、結果を出せなければ解雇ということも覚悟しなければいけません。

また、事業会社に転職した場合には、事業会社の報酬体系となるため、報酬面での待遇は、監査法人と若干下がることが通常です。中には、公認会計士ということで、監査法人と同程度の待遇を用意してもらえることもあります。

また、事業会社への転職の場合には、多くの方が経理・財務・経営企画などの管理部関連に所属するため、他の業界と比較して、競争は激しくなく、休みもしっかりとれることが多いと言えます。

さらに、ベンチャー企業に転職した場合には、待遇面も監査法人よりは大きく下がり、かつ、激務になることが多いです。その代わりに、貴重な経験を積み、大きく成長できる環境と、いざ株式公開等が成功すれば、ストック・オプション等で金銭的な成果を得ることも可能という魅力があります。

近年では、ベンチャー企業に転職し、将来的には最高財務責任者(CFO)のキャリアを目指す若手公認会計士も増加傾向にあります。

独占業務に守られている監査法人を飛び出すと、安定していて、競争もなく、高年収という環境はないですので、自分の生涯プランと適性を考えてキャリアを選択してほしいと思います。

その上で、キャリアの選択肢が非常に多岐に渡るという点は、公認会計士の大きな特徴の一つと言えます。

最後に独立開業した場合には、実力次第で年収は天と地の差があります。年収300万円の方もいれば、事務所経営に成功し、年収数千万円を稼いでいる方もいらっしゃいます。独立開業は、営業力とどれだけの価値をクライアントに提供できるかという実力次第ですので、自信のある方にはお薦めの選択肢の一つと言えます。

4.資格をとってもと言われるけど

最近、『学歴があっても』、『資格を取っても』、という言葉を聞くことが多くなりました。確かに一流大学を卒業しても仕事で成果を出せない人もいます。また、資格を取ってもそれだけで食べていけない人もいるのも事実です。

しかし、それは、学歴や資格が不要ということを意味しているわけではなく、学歴はあったほうがよいし、資格もあったほうがよいのです。確率論で言えば、一流大学を卒業している人や難関資格を取得している人の方が、高年収を稼いでいるのは事実です。

ただ、変化が早く競争の激しい社会になっている現代において、その後の努力をしないと、それだけでは苦労することがあるということを意味しているのです。

その一方で、中には、高卒でも、中卒でも、大成功を収めている人がいるのも事実です。しかし、その様な人は例外であり、それを鵜呑みにして、学歴も資格も放棄した場合には、多くの方は後悔することになってしまうのではないでしょうか。

学歴崩壊・資格崩壊というのは、それが必要のない社会になったということを意味しているのではなく、それだけでは厳しい時代になってきているという意味であるということを認識しておいてほしいと思います。

そのため、公認会計士に合格した後に、天狗になってしまい、その後の自己研鑽を行わない人は、今後の時代は厳しいと思います。逆を言えば、医者でも、公務員でも、公認会計士でも、今まで自己研鑽しなくても困っていなかったこと、つまり、資格取得者を保護しすぎたこと自体が、異常な状態であるともいえるのです。

今後の競争社会においては、今以上に稼ぐ公認会計士も多く出てくると思いますが、今よりも稼げない公認会計士も多く出てくると思います。どの業界でも今後2極化が進むのではないでしょうか。

5.一流企業との比較

一方で、せっかく2年間勉強して資格を取得したのに、一部の外資系の企業や金融・商社と比べて、給料にあまり差がないと言われることもあります。

ここに、大きな誤解があるのは、そのような企業と給料面において、大きな差はないのは事実ですが、忙しさや出世競争の激しさが全く異なるということです。

外資系の企業などは、年俸制を採用しており、また、解雇も定期的に実施されるので、高い給料を維持するため、また、雇用契約を維持するためには、長時間労働や休日出勤も日常茶飯事という環境です。

また、商社や金融機関も、同期の出世競争に勝ち残れば高待遇が待っていますが、子会社や関連会社に出向した場合には、それほど高待遇は見込めなくなってしまいます。どうしてもそういう業界で勝ち組になった人の情報が入ってくるため、公認会計士の待遇面は、他の大企業の従業員とそれほど変わらないと言われることもあるのです。

このような話を聞くたびに、隣の芝が青く見えるとはこういうことだと感じてしまいます。そのような一流企業に入社し、さらに、出世競争で勝ち抜くのは公認会計士試験に合格するより難関であると言えます。

また、公認会計士試験に合格した後に監査法人から総合商社や外資系の企業に転職することも可能ですので、一概に比較できるものではないですが、公認会計士の待遇の方が低いということはないと言えます。

さらに、平均年収が高い会社というのは、そんなに多くないという事実も重要です。下記は、日本の平均年収ランキングになります。

平均年収1,000万円以上ある会社は、上場企業3,500社のうち、約50社程度になっています。

さらに、上記平均年収には、2つの留意点があります。

一つは、○○ホールディングスです。

ホールディングスとは、純粋持株会社を意味しており、役員待遇等の少人数しか社員になっていないことがほとんどです。そのため、平均年収が高く表示されることになります。

ちなみに、第62位のベネッセホールディングスは、平均年収9,640,000円となっていますが、ベネッセホールディングスの社員はたったの25名で、子会社等を含めたベネッセグループ全体の社員は、18,000名程度います。

ですので、○○ホールディングスは、本社に勤務する出世を果たした少人数の年数である点に留意が必要です。実際、年収トップ50社のうち、23社はホールディングスという名称がついていますし、社名にホールディングスとついていなくても、実質ホールディングスのような形態の会社もあります。

上記からも、平均年収を1,000万円稼げる会社というのは、実質25社程度と、相当少ないということがわかると思います。

二つ目は、その他の高年収の企業の多くは、出世をできないと関連会社などに出向になってしまうことも多いですので、出世競争に勝ち残った人の平均年収という意味合いが強くなります。

上場企業で出世競争に勝ち残る、ましてや役員まで出世するというのは相当困難であると同時に、実力だけでなく運の要素も多分に影響を受けてしまいます。

6.生涯年収を考える

次に、生涯年収という概念を見ていきましょう。

生涯年収は、勤続年数に年収をかけたものであり、一生で稼げる年収を意味しています。
ですので、年収300万円で50年勤務すれば、1億5,000万円になります。

この時に、サラリーマンの平均年収が430万円
上場企業の平均年収が600万円
公認会計士の平均年収が1,100万円として、勤続年数50年(70歳定年)で考えてみましょう。

サラリーマン平均:430万円×50年=2億1,500万円
上場企業平均:600万円×50年=3億円
公認会計士平均:1,100万円×50年=5億5,000万円

上記数値は、税金や社会保障を無視して簡便的に算定していますので、あくまで目安としてとらえてほしいのですが、一流企業に就職するだけで、サラリーマンの平均と比較して、8,500万円の差が付きますし、さらに、公認会計士になれば、一流企業の平均からも2億5,000万円程度の差になります。

次に、ここから自由に使えるお金であるフリーキャッシュフローについて考えてみます。フリーキャッシュフローという言葉は、なじみがないかもしれませんが、生活に最低限必要な支出をした後に自由に使えるお金と考えてもらえればと思います。

どんな人でも日々の生活を維持するために支出が必要です。
また、家族ができればその生活を維持するためにかかる支出もどんどん増えます。
たぶん、実家に暮らしている社会人でも月に最低10万円以上は使うでしょう。
一人暮らしをしていれば、15万から20万円程度は使うのではないでしょうか。
家族が4人いれば、30万~40万円程度はかかってしまうのではないでしょうか。

仮に、家賃で15万・その他費用で15万円として、合計月30万、旅行や臨時出費で年40万円と仮定すると、30万円×12カ月+40万円となり、年間400万の生活維持費がかかります。さらに、所得税や社会保険料で最低年間50万円以上はかかります。その場合、450万×50年で生涯にかかる生活維持費は2億2,500万円となります。

そうすると、生活維持費を除いた、その他のことに自由に使えるお金が、

サラリーマン平均:2億1,500万円-2億2,500万円=△1、000万円
上場企業平均:3億円-2億円2,500万円=7,500万円
公認会計士平均 :5億5,000万円-2億2,500万円=3億2,500万円

となります。

年収の差も、生活費を除いたフリーキャッシュフローで考えるとよりリアリティーが出てくるのではないでしょうか。

この自由に使えるお金(今回は、税金関係は正確に計算していないので、実際はもっと少ない)には、子供の教育費、自宅などの購入費、車などの高級品の購入費、老後の生活費、老後の余生を楽しむお金、などが含まれていると思います。

仮に、自宅を自分で購入し、子供もしっかり大学まで通わせようと考え、老後の余生も充実させようとすると、一流企業の7,500万円でも全然足りないかもしれません。

そのため、自分が将来どのような家庭像を考え、どのような生活水準をしたいのかということをしっかり考えたうえで、自分の目標とする年収を逆算することがとても大切になります。

近年、共働きでダブルインカムをするという夫婦が増えているのは、自宅を購入し、子供の教育費や老後の資金を考えた場合に、父親だけの年収では到底足りないからという背景があります。

逆に、世帯年収が、1,000万円以上あれば、贅沢をしなければ、自宅を購入し、子供の教育費や老後の余生を十分に賄うことが可能です。

さらに、今後、社会保障費の増大や、消費税の増税も益々進んでいくことになるので、自由に使えるフリーキャッシュフローは益々少なくなると思います。

学生のうちやまだ独身の時は、自分の生活費だけをまかなえばいいので、そんなに問題になりません。
しかし、だからと言って、将来のことなんてどうでもいいやと考えていると、いざ、結婚して、子供ができた時、始めて現実を突きつけられるということにもなりかねません。

結婚した途端に、毎月のお小遣いが3万円になり、かつ、40年ローンを組み、ローンを返済するために仕事をしているというような状況は、なるべく避けたい事態だと思います。

従来は、大企業に入り、会社内で頑張っていれば、年功序列・終身雇用に守られ年収が上がっていく時代でした。しかし今後は、終身雇用の崩壊や実力主義の導入により、一人ひとりがしっかりと価値を出せるようにすることが求められる時代になります。

今回は、公認会計士の給料に視点を当てて説明してみましたが、公認会計士業界に限らず、どの業界でも競争が激化し、2極化が進むのは避けられない流れになってきています。

だからこそ、学生時代や20代の社会人時代にどのように過ごすかで、生涯年収が大きく変わる可能性があるという現実を知り、充実した後悔のないキャリア設計をすることが必要とされます。

是非、自分の望む将来像と、そのために必要な、生涯年収とフリーキャッシュフローについて、一度真剣に考えてみてもいいのではないでしょうか。

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