※この記事は2015年11月に執筆しています。
<日付の入力はバラエティ豊か。さすがExcel>
皆さんはExcelで
と表示したいとき、どのように入力していますか?
ご存知かもしれませんが、Excelは非常に賢いので、
いろんな方法で入力できるんです。
いくつかの方法を見てみましょう。
①「12/1」 と入力しても
②「12月1日」 と入力しても
③「12-1」と入力しても
いずれも、「12月1日」と表示されます。
ただ、私はそういう入力方法は危険だと考えています。
私が日付を入力するときはいつも、「2015/12/1」のように、
「年」からフルに入力する習慣が付いています。
なぜこれが必要かわかりますか?
どうして、「年」から入力しないと危険なのか。
その危うさがわかりますか?
<Excelで、「日付データ」は必ず「年」情報を持つ。>
先程のデータを改めて、見てみましょう。
A2セルには、「12月1日」と表示されていますが、
右上の数式バーを見ていただくと、「日付形式」の表示が現れます。
「2015/12/1」となっていますね。
つまり、入力者が、
「年情報(ねんじょうほう)」の無い「12月1日」
というデータを入力したつもりでも、
その実、Excelにおいては
必ず、自動的に「年情報」が入ってしまうのです。
では、「何年が入るの?」という話ですが、
この年情報が入るメカニズムは単純で、
どんな時も「作成時点」の年情報が入るのです。
だから、今この記事を書いているのは「2015年11月」なので、
たとえば「3/31」と入力しても、当然、「2015/3/31」が
入力されることになるのです。(もちろん、その日は過ぎています)
<入力者の錯誤がもたらす問題>
ここで、入力者の錯誤を整理します。
1.入力者は、「日付」を入力するときに
「12/1」のように入力すれば、「12月1日」と変換されて便利だと知っている。
2.入力者は、上記のように入力された「12月1日」という日付データが、
たとえば「2015年」という年情報を持つことを明確には認識していない。
3.Excelは、「月日情報(がっぴじょうほう)」が入力されたら、必ずその時点の「年情報」を同時に付与する。
ここから引き起こされる問題は2つです。
問題1. 年末になり、来年(2016年)のスケジュールをExcelで作成したときに
意図せず、「2015年」のスケジュールを作成してしまう。
問題2. 年明け(2016年)になり、昨年(2015年)のデータをまとめるときに
意図せず、「2016年」のデータとしてまとめてしまう。
<ミスった後の、トラブルシュートぉぉぉ!>
つまり下記の動画のようなミスを引き起こします。
トラブルシュートのやり方を同時に紹介していますので、ぜひ覚えておきましょう!
【Excelラボ いつもの静かな動画(1分半)】
※音声が入っていないから、電車の中でも会社でも、どこでも再生いただけます。
ちなみに、「置換」ボックスを出すショートカットは
Ctrl+H であり、常識なので覚えておきましょう。
<違和感が残れば、現場では使えません。>
動画で紹介した、「置換」を使うトラブルシュート。
言われれば簡単ですが、なかなか実行にうつせない人も多いようです。
なぜならば、
と表示されているからです。
つまり、「目に映るもの」を「置換」するのが「置換」だと考えると、
上記のセルには「1月1日」しか表示されていないから年情報の置換はできないと思える。
けれど、「置換」は、目に見えない、数式バーにある部分「2015/1/1」を
直接対象として掴むことができるんです。
だから数式バーに表示される「2015」を「2016」に変えれる。
目に見えない部分(セルには表示されていない部分)を置換は扱えるのです。
ここは意外に重要で、また別のテーマでも出てきます。
<「反論: 年情報なんて間違っていても困らないのでは?」という方へ>
- 別に「1月1日」って表示されていてそれが「2015年」だろうが「2016年」だろうが困らないでしょ?
という反論が予想されますが、下記の場合にトラブルとなり露呈します。
1.「曜日」が表示されるようにユーザー定義をかけた場合
2.VLOOKUP関数などで、日付データによるマッチング作業を行った場合
いずれにせよ、「年情報」が間違ったままで良いわけがありません。
年末年始には、このトラブルが各会社で続出して、
しばしば「完成度の低い」カレンダーが出回ると考えられますので、
皆様はくれぐれもご注意ください。
ちなみに、
実務Excel講座の受講者の皆様は、このようなミスはしませんね。
なぜなら、必ず日付データとともに曜日を表示させる習慣がついているからです。
今回の記事がよくわからない方へ
シリアル値やユーザー定義については、
実務Excel講座の基礎編でしっかり扱っていく内容となります。
- 日付の本質は「シリアル値」であり、常に「シリアル値」を意識しながら日付データと対峙する
必要があります。
- 曜日の本質は「日付」であり、日付の本質は「シリアル値」である。
だから、年月日が一意に決まれば、曜日もまた確定され自動表示される。
上記が意味不明な方は、実務上大きな時間ロスをし続けることになるので、
早めに実務Excel講座の基礎編をおすすめします。