今回は、公認会計士試験の合格者の実態と今後の就職環境・試験環境の予測について説明していきたいと思います。
1.令和2年度の公認会計士試験の概要
(1)合格概要
令和2年の公認会計士試験概要は、
願書提出者 13,231名
合格者 1,335名(うち女性合格者328名)
合格率 10.1%
合格者の平均年齢 25.5歳
最高年齢 61歳
最低年齢 18歳
参照:https://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakai/reports/02/honpen/05.pdf
(公認会計士・監査審査会 年次報告 令和2年度版 本編 第3章 公認会計士試験の実施)
(2)合格者の年齢別割合
20歳未満 7名(0.5%)
20歳以上25歳未満 799名(59.9%)
25歳以上30歳未満 299名(22.4%)
30歳以上35歳未満 128名(9.6%)
35歳以上 102名(7.6%)
参照:https://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakai/reports/02/siryou/03.pdf
(公認会計士・監査審査会 年次報告 令和2年度版 資料編 第3章 公認会計士試験実施関連資料)
(3)合格者の学歴別割合
高校卒業 80名(6.0%)
大学在学 555名(41.6%)
大学卒業 552名(41.3%)
大学院在学 12名(0.9%)
会計大学院在学 11名(3.1%)
会計大学院修了 41名(3.1%)
大学院修了 56名(4.2%)
その他 28名(2.1%)
参照:https://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakai/reports/02/siryou/03.pdf
(公認会計士・監査審査会 年次報告 令和2年度版 資料編 第3章 公認会計士試験実施関連資料)
(4)合格者の職業別割合
学生 893名(66.9%)
無職 347名(26%)
社会人 95名(7.1%)
参照:https://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakai/reports/02/honpen/05.pdf
(公認会計士・監査審査会 年次報告 令和2年度版 本編 第3章 公認会計士試験の実施)
2.過去10年間の公認会計士試験の概要
過去10年間の推移は、以下の通りです。
順位 | 願書出願者 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2010年 | 25,648名 | 2,041名 | 8.0% |
2011年 | 23,151名 | 1,511名 | 6.5% |
2012年 | 17,894名 | 1,347名 | 7.5% |
2013年 | 13,244名 | 1,178名 | 8.9% |
2014年 | 10,870名 | 1,102名 | 10.1% |
2015年 | 10,180名 | 1,051名 | 10.3% |
2016年 | 10,256名 | 1,108名 | 10.8% |
2017年 | 11,032名 | 1,231名 | 11.2% |
2018年 | 11,742名 | 1,305名 | 11.1% |
2019年 | 12,532名 | 1,337名 | 10.7% |
2020年 | 13,231名 | 1,335名 | 10.1% |
参照:https://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakai/reports/index.html
(公認会計士・監査審査会 年次報告 令和2年度版 本編 第3章 公認会計士試験の実施)
昨年、令和2年の公認会計士試験では、コロナウイルス流行の影響により論文式試験において日程の変更がありました。論文式試験は毎年8月に行われていましたが、11月へと延期になりました。加えて従来は1日2科目で計3日間だった試験が、1日3科目、計2日間の試験日程へとイレギュラーな変更もありました。このスケジュールの変更が原因となったためか、令和2年の公認会計士試験合格者数は令和元年の合格者数よりも微減しました。
本年度の試験は5月短答式試験、8月論文式試験は実施され、12月の短答式試験も今のところ実施される見込みです。当日体調不良であったり、濃厚接触者に該当してしまった場合は受験することが出来なくなってしまいます。その場合であっても、制度上、試験を再受験をすることはできません。試験当日は万全の体調で挑むようにしましょう。
3.就職状況について
コロナ渦の現在でも、監査法人の就職市場では毎年の定期採用が安定的に行われています。コロナ禍において、業績が好調な企業も存在するため、監査の役割を担う公認会計士は需要があります。
業界に詳しくない方にとっては、2006年から2011年あたりまでの未就職者問題のイメージが強く、公認会計士は就職難という認識を持っている方も多くいらっしゃると思いますが、現在は完全に就職状況は改善しているのが現状です。
また、今後は、農協監査・社会福祉法人監査から、医療法人などまで、情報公開社会に応じて、どんどん監査の範囲が広がっていきますので、人手不足は当分の間、続くと予想されています。
ITで会計事務所職員や、経理職員が大幅に減っているという情報もありますが、単純な記帳業務においては当てはまるのですが、公認会計士の監査業務・アドバイザリー業務などは、高度な判断が必要ですので、ITで実施できるというのは、実務を知らない方の誤解であると思います。
そのため、今後中長期的にも、合格者が安定的に推移することを前提にすれば、就職状況は安定していくことが予想されます。
また、公認会計士業界の就職活動においても、他の業界同様に「Zoom」等のオンラインツールを使用しての面接が主流です。説明会から、募集要項確認、面接までオンライン上でのやり取りが必要となる可能性が高いです。オンラインツールを使いこなす力と、オンラインならではのマナーを身につける必要があります。
4.今後の合格者数の推移と受験者数の推移について
公認会計士試験の合格率は、近年は毎年10%前後で、受験者数に応じて合格者が推移しています。
では、今後の受験者数はどうなるのでしょうか。現在、公認会計士試験受験者数は平成30年の試験から、年々約800人近く増加傾向にあります。新規に公認会計士を目指す方が大きく増加していると言えます。
そのため、今後数年かけて、受験者が15,000名程度、合格者は1,500名程度を目指していくのではないでしょうか。
よって、現在公認会計士を学習している方、またはこれから学習の開始を検討している方は、あと数年は合格率が10%を超える非常にチャンスの時期だと思います。また、今後は安定的な試験制度の運用が予想されますので、就職状況も数年は完全な売り手市場が続くのではないでしょうか。
よって、現在公認会計士を学習している方、またはこれから学習の開始を検討している方は、あと数年は合格率が10%を超える非常にチャンスの時期だと思います。また、今後は安定的な試験制度の運用が予想されますので、就職状況も数年は完全な売り手市場が続くのではないでしょうか。